大円寺・笠森稲荷( 東京都

所在地:東京都台東区谷中
彫師:森桂雲
彫物製作年代:大正元年(1912)

大円寺は日蓮宗の寺院で、山号は高光山、開山年は天正の創建ともいわれているが詳細は不明。上野清水門脇から谷中へ移転。本堂にかさもり稲荷が並立して祀られ、境内に「錦絵開祖鈴木春信」の碑と、永井荷風が建立した「笠森阿仙乃碑」がある。笠森稲荷は本堂向って右の薬王殿で、左側が大円寺本堂。笠森お仙は、笠森稲荷門前の水茶屋鍵屋の看板娘のこと。柳屋お藤、蔦屋およしと共に、江戸の三美人として浮世絵のモデルにもなった。笠森稲荷は本来「瘡守稲荷」と言われ、皮膚の病、はれ物に効果があると広く信仰された。

笠森稲荷と一体の大円寺本堂の両向拝部分の彫刻は、大正元年10月森桂雲による。森桂雲は、名匠後藤縫之助に弟子入り。大円寺、笠森稲荷向拝それぞれ彫刻が違っているのが見ることができる。両方とも天女が舞っているが、大円寺は向拝虹梁上の奥まったところにいて、笠森稲荷の方は向拝の兎の毛通し、前面に出ている。谷中に数ある寺院の中で、装飾彫刻は大円寺のものが最も優れていると思われる。
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